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CSR調達研修用ツール「Game of Choice」

SDGsへの取組みとCSR

多くの企業がSDGs(持続可能な開発目標)への取組みを掲げています。
環境、社会、経済の3要素が調和した状態を作り出すために2015年9月に国連サミットで定められた国際目標がSDGsであり、企業には持続可能な発展に貢献することに大きな期待が寄せられています。
我が国政府が2016年12月22日に策定した指針「持続可能な開発目標(SDGs)実施指針」(その後2019年12月20日及び2023年12月19日に改定)の別紙「各ステークホルダーに期待される役割」の中でも、ステークホルダーの最初に「ビジネス」が取り上げられ、その中で「・・・全企業の99.7%を占める中小企業は地域と経済を支える存在であり、SDGsの中小企業への更なる浸透とその取組を後押しすることが重要である。また、様々なステークホルダーと連携し、多様な価値を協創することで、SDGs達成に向けた機運を国内外で醸成することが求められる。気候変動をはじめとする地球環境問題、ディーセント・ワークの実現、『ビジネスと人権』、責任あるサプライチェーン、企業の社会的責任に関する取組は、SDGsが目指す持続可能な経済・社会・環境づくりに貢献する上で不可欠であり、各企業が国際社会からの信頼を高め、グローバルな投資家からの高評価を得る上で重要である。」と明記されています。
まさに、持続可能な発展に貢献することが各企業に期待されているのであり、持続可能な社会の構築が企業の社会的責任(CSR)になってきたといえるのではないでしょうか?

一方、グローバル化した現在の企業活動において、製品・原材料・資材などの調達に際し、世界中にサプライチェーンが広がっており、一企業だけのCSR活動では成果に限界があります。
そのため、調達元企業をベースにしてサプライチェーン全体でのCSR活動の展開が必要になってきています。
なお、グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(以下、GCNJ)の発行している「CSR調達入門書」では、CSR調達を次のように定義しています。
「バイヤー(企業)が製品、資材および原料などを調達するにあたり、品質、性能、価格および納期といった従来からの項目に、環境、労働環境、人権などへの対応状況の観点から要求項目を追加することで、サプライチェーン全体で社会的責任を果たそうとする活動」

出典:GCNJ「CSR調達入門書」

CSR調達ゲーム「Game of Choice」とは・・

このゲームは、サプライチェーン全体でのCSR調達の重要性をわかりやすく、興味を持って理解してもらうために、GCNJサプライチェーン分科会が作成したもので、参加者を予め7名程度のグループに分け、簡単なレクチャーを行った後、ゲームを通じてCSR調達の重要性を楽しく学ぶことができるツールです。
各参加者はグループ内で、様々なステークホルダー(企業、消費者、小売店、サプライヤー、株主、NGO、地域社会のコミュニティのリーダー)となり、ある事件が起こった場合にどのような行動をとるかを選択します。各参加者がなぜそういった行動を選択したかについて、お互いにディスカッションすることを通じてサプライチェーンにおける社会・環境リスクとCSR調達の重要性についての理解を深めることができます。

Game of Choice を実際にやってみて・・

Game of Choiceの有効性についての好レピュテーションを聞きつけ、去る7月25日、GCNJサプライチェーン分科会普及調達タスクチームの方をお招きし、Game of Choiceを実際に体験しました。
参加者の属性は、ビジネスと人権推進社労士7名、行政関係者2名、外国人技能実習生監理団体1名、企業関係者7名(代表者、人事担当が主)、大学生4名の合計27名でした。
これを3グループに分け、9名の内1名が事前に研修を受講しておき、ファシリテーターを務めました。残り8名が7つのステークホルダーを担当し(1つのステークホルダーは2名が担当)、GCNJの調達タスクチームの方の指揮の下、ゲームを進行していきました。

参加した方の感想は次のようなものがありました・・・

  • CSR調達の重要性について学べるだけでなく、チームビルディングにも有効だと思う。自社に戻ったら具体的な研修スケジュールに落とし込みたい(製造販売業代表取締役)
  • 講義形式と異なり、受講生が参加して自ら考えるスタイルなので、興味をもってCSR調達の重要性について学べた。新入社員研修や若手社員の研修で活かすことを考えてみたい(製造業人事担当)
  • 会員企業への啓発用に毎年1回の事務担当者会議等で活用する方向で検討してみたい(監理団体役員)
  • 調達担当者が受講する方がいい、と助言してもらっていたが、調達担当者の都合が悪く自身が参加した。人事担当の目から見ても研修で活用できると感じたので、調達担当者、営業担当者にもこの内容をフィードバックし、全社的に活用する方法を検討したい(製造業人事担当)
  • 高校を卒業したばかりで、世の中のしくみもよくわかっていなかったが、このゲームで世の中の商品の流れがどのようになっているのか等を理解することができたし、サプライチェーンを通じて世界中とつながっていることが理解できてよかった。(大学生)

なお、ウェブ上でも多くの企業様が各種研修で実施した、という記事が多くみられます。ウェブに公開していない企業も多くあるだろうと考えられますので、実際にはCSR調達の重要性を意識した企業が自社の社員の教育用に利用しているようです。
ただし、サプライヤーの企業の社員様を対象としている企業がどの程度あるかは不明ですが・・・

Game of choiceの入手方法

このgame of ChoiceはGCNJが開発、普及促進をはかっているものであり、GCNJの運営用のマニュアル等も入手することが可能です。
また、YouTubeでもわかりやすく解説した動画が掲載されています。
自社だけでなく、取引先を含めたサプライチェーン全体での取り組みが求められる今、社員(自社だけに限りません)のリテラシーの向上は不可避です。
ぜひ、リテラシー向上のためにCSR調達ゲームを取り入れることをお勧めします。